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  • 執筆者の写真Zen Voice Factory_ZN

第8聲「ボイトレに奇跡も魔法もないんだよ」

更新日:2019年1月2日

ボイトレを受けた事のある人の「ボイトレ」へのイメージって

何か「感覚的」で「曖昧」と聞きます。

僕も当初そうでした。そうも教わりました。


いい歌やいい声に向け

「あのプロと自分の声は違う、あのプロのように」って

目指すイメージはあっても

どうしたら辿り着けるか自分ではわからず

そこを知りたくて

ボイストレーニングに行くわけですが

行ってみたらどこか「感覚的」で「曖昧」な感じで

結局それを自分でどうやれるようにしたらいいのかの方法とビジョンが見えない

更には精神論的になっていくことも多くて余計にわかりづらく

モチベーションは下がってボイトレから遠ざかっていきます

実感がないのでボイトレって意味ないんじゃないか?

自分で練習するのとあまり変わらないんじゃないか?

となっていくことが多いかと思います。


ボイトレ経験者から聞くのは

「曖昧でよくわからなかった」

「通ってたとこの先生はいい人で相談も乗ってくれるし楽しくはあったんですが。」ですが

人が良く優しく信頼できるのは教えるものとして基本だと思いますし

相談乗ってくれるのも人であり教える立場であれば尚更です、

が、しかしボイストレーナーの本質とはまた別です。

みなさんが求めているのは歌や発声の技術の向上、問題解決であり

僕らが提供するのも歌や発声の技術の向上、問題解決です。

もし、ものすごく人が良くて相談も乗ってくれる優しい店主が営む

さほど美味しくないラーメン屋で値段はそれなりにする

だったら、多分行かなくなりますよね笑

もしくは人生相談の為にラーメン食べますよね笑

そこが目的であれば問題無しですが

美味しいラーメンを提供されたいなら目的がズレてしまってます。

日本のボイトレはさほど美味しくないのか、美味しいのかが

わかりにくいのが問題でもあります。


ボイストレーナーが精神論に偏って行きがちで

自分に魔法や神秘性を持ちたがる傾向っていうのはあって

誰もが知りうる理論ではなく魔法的にレッスンすれば

「この先生は特別で、この先生でないとできない」って生徒を離さずに

自分の位置を保持できるわけです(くだらない!!!!)

「歌唱の仕組み(リチャード ミラー、 岸本 宏子/音楽之友社)の中でも

歌唱教師が歌唱の理論を嫌う理由として

「神秘性が消えてしまったら巫女や祭司は不要ですから

これが秘術使いの教師が歌唱の機能に関する情報に抵抗する理由です」

また「発声教師に神秘的なものはいらない。神秘性、感覚的なものに頼るという事は

圧倒的に発声が行われる構造という事実を無視し、

教師自体が知識不足ということになってしまう」

歌唱教師が秘術のように言った時点で自分の知識のなさを語っている

との事が書いていて非常に共感です!

また同書には「生徒には歌唱の技術な側面に神秘的な事などないという警告が必要です」

とも書かれています。

発声の仕組みに関して生徒さんに質問されたら

現在解明されて発表されているものに関しては

明確に回答ができなくては僕らはいけません。

そこは曖昧にしてはいけない(解明されてないものはそう答えます)


また「声のしくみ(石井末之助/音楽之友社)」でも

著者は耳鼻咽喉科の医師なのですが

発声教師はあまりに感覚的に理論を見ずに

見当違いな事を話したり書いたりしてるので話す気にもならない

発声教師が医学や生理学を勉強しない事が発展を妨げていて問題だと書かれていて、

昭和58年に出版された本ですが

当時から現在に至るまであまりボイストレーナー界は変わっていないんだなあと

感じた次第です。非常に好きな本。(僕も以前いたスタジオでそう言ったところを変えていきましょう!と話したところ、それは難しいとあっさり断られました、そしてNO理論の感じでもありました苦笑)


発声とは

このコラムの第6聲、第7聲で書いている 内容のように

物理学であり、医学であり、言語学であり、音声学であります!

なんです!!!!


奇跡か魔法かだったらそれにかからなかったら上手くなれないなんて絶望ですよ笑


まだ科学が発展していない時代は致し方ないとして

今や科学は進歩し、発声の仕組みや構造は以前より紐解かれてきています。

ならばしっかり取り入れるべきなんです。

しかし昔のまま日本は止まっている人が残念ながら多いし

ボイストレーナーをアルバイトとしてではなく生業としている方は少ないです。

歌が歌える=ボイストレーナーできるが現状です。


発声や歌い方をしっかり理論的に勉強して

理解して実践できるようにトレーニングを重ねた先に

「表現」があり、その「表現」も

まだ入り口は理論的なものが多く説明もできることが多い

更に更に更に「表現」を深く追求した先は

説明が簡単には難しい「感覚的」なものになっていくと思います/


ピカソが初期に正しいデッサンをして

その先にTheピカソの絵があるのと同じように。


僕が習っていたピアノの先生が

(この先生はバリバリ音大講師のクラッシックの方でした※僕が音大とか一切行ってません)

「郷に入り、剛より出でしその後は自由を得べし芸術の道」

と語りました。


そうしっかりと理論を勉強し、習得した後には

そこから解放され、自由に発想し、自分を表現していく

それが初めて「芸術」ということです。


「歌は芸術だから感覚的で理論はいらない」

いう方は

その言葉を早とちりして捉えたものかと思います。


僕のトレーニングには奇跡も魔法も何もないです

はっきり言って誰でも出来ます。

誰でもできる内容じゃないとおかしい/

その内容をどれだけわかりやすく教えて

できるだけ早くできるようにするか

それだけがトレーナーの技術と思っているので

引き続き精進していく所存です。

よろしくお願いします。

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