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執筆者の写真Zen Voice Factory_ZN

第7聲「舌根を下げろ!ってボイトレはマルかバツか?」(後編)

更新日:2019年1月2日

さて「舌根を下げる」についての後半を書いていきます。

前編を読んでない方は1つ前の第6聲からどうぞ/


前編のラストではそもそも声とは息であり

息(空気)の性質として「口腔内(口の中)の気圧」というものが

声(息)がスムーズに出て行くには重要な話をしました。


その気圧の考えを踏まえた上で

舌根を下げるのか上げるのかの位置を考えたいと思います。


まずこの画像を見てみてください。



(「あ」は「い」より大きい!? 川原繁人・著 より)


これは人の横顔のMRI写真です、大きい白いものが舌です。

左の写真(スマホだと上)は

日本語の「い」を発声している時の様子です。

右の写真(スマホだと下)は

日本語の「あ」を発声している時の様子です。


舌の後ろの空間の広さを比較してみましょう。

「い」の方が圧倒的に空間が広いですね


これはボーカルや役者さんは知っておくと便利なものとして

日本語の母音「あいうえお」は

「い→え→う→お→あ」

の順で舌が前(歯の方)から後ろ(ノドチンコの方)へ引っ込んでいきます。

これに伴い音色は「高い→低い」へいきます。

舌が前の方にいる時には高音の倍音が強く出ます

舌が後ろに行くと高音の倍音は減少し音の音色が低くなるわけです。

(専門的には第2フォルマントが強くなる事になります

詳しく知りたい方は是非川原先生の著書を読んでみてください。

非常に非常にわかりやすく為になる本です)


この日本語の母音「あ」や「お」などを発声した時に

舌が後ろに行くわけですが

いわゆる「舌根を下げなさい」と指導されて下げてみている状態に

かなり近くなります。


舌が喉の壁の方へ近づき

空間が狭くなりここで前編で書いた

「気圧高くなる状態」が生まれてしまうことが多いです。


スコープを鼻から入れて声帯を見ると

こんな感じで見えます

これは僕が「い」を発声してる時ですが(扁桃炎で耳鼻科に行った際なので声帯むくんでますが)

舌根は前の方に行くので声帯はよく見えます。

穴の奥の方に白っぽく見えているのが声帯です。









「あ」や「お」を発声する時は

 舌根が引っ込んで声帯の上の方へかぶってくるので見えなくなることが多いです。

今度できたら写真撮ってきます。

上記のMRI写真を上から見ると

こんな感じになるのでやはり少し狭目にはなります。






実際にレッスンでも

「お」で発声練習をした時に

締まったような声と、生徒さんに声の出しやすさを聞いても

出しにくいという回答があった際に

同じ音程で「い」や「え」で出してみると

スコーンと出ることが多く

舌の位置をなるべくそのままに「お」を発声すると

(舌の位置を当初の「お」より「い」の時の前の方に)

楽に「お」が出てきます。


こういった生徒さんは

以前にボイストレーニングを受けた際に

担当された方にかなり「舌根を下げる!」を言われた経験が多いです。



もちろん舌の構造を理解し正しく舌根を下げるはOKで

この図の矢印のように

巻尺が引っ込むように

顎の骨のように向かい、下にある2つ目の矢印がある所が舌骨(ぜっこつ)ですが

ここが前方に移動する。

舌骨とその右の斜めにある喉頭蓋は腱で繋がってますので

喉頭蓋も開き気管出口の空間は広くなります。






しかし

トレーナーが「舌根を下げる」という言葉を

定型文のように覚え使うことが多く

(自身もそう師匠から伝えられてきたからだと思うのですが)

構造を知らずに「歌で舌根は下がってるのが基本」のようにして

自分の下げた舌を見せたり

「下がらなければスプーンで下げたりもする」などと話すと

生徒さんはこの図の青線のように

真下に下げるようになったり

舌根と思ってる場所が舌の中腹辺りで

そこを真下に下げたりします。

すると舌骨は後方へ押し込まれることもあり

気管の出口を圧迫し狭くなり

締まったような声になる事が多いです。








先に書いたように

日本語の発音というものも非常に喉を使い喉の閉まる発音をするもので

この日本語の特徴を教えてもらい理解し、しっかり直していくと

声の響きやミックスボイスを含め高音も出しやすくなります。

日本語の特徴、日本語で歌を歌う場合の日本語の良い発音に関しても

また別の回に書いていきます(かなりわかりやすいです!)


このように

舌の位置や日本語の特徴により影響される

声の元となる空気の性質である

気圧をうまく調整すれば伸びやかだったり出しやすかったり

自分が出したい声は作れていきます/


声は物理学です!


このコラムが感覚的で非常にわかりにくく曖昧な

日本の遅れに遅れたボイストレーニングに漂流してしまっている方の

何かきっかけや良きトレーナーさんへ出会えるきっかけになってくれたらと願います。


また書いていきます、でわ今回はこの辺で/




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