こんにちは、ボイストレーナーの長塚全です。
少々長い文章ですがボイトレに関して
今の日本の現状や考えている事を書きました
最初に読んでいただけたら嬉しいです!
僕は今まで歌を習ってきて
歌は「感覚で歌うもの」そう教わることが多かったです。
トレーナーは
「お腹に空気を入れて」
「柔らかいイメージで」
「眉間に声を集めるイメージで」
「お尻の穴を締めるイメージで」
「はい、目の前で回して、パーン」
「こんな感覚で、こう、いや違う、もっとこんなイメージ」
そんなレッスンが多いと思います。
歌を歌う感覚を持っている人はそのイメージが理解できて
上手くできていくのかもしれません。
そうできたらいいなとも思っていました。
でも僕は「歌」に関してその感覚がいまいちわからず
センスも才能もない方でした
なので「感覚」でも「センス」でも歌えませんでした。
今ではボイストレーナーですが
元々僕は歌が下手で
声も低く高い声も出す事ができず
散々に歌が下手だと言われてました(苦笑)
15年近く歌をやってボイストレーニングもして
ようやく歌の自由さと楽しさを持てるようになりました。
遅ッ!!!!笑
そしてボイストレーナーという仕事に誘われ
今度は教える立場になりました。
最初は師匠に教えてもらった通りに感覚的にレッスンしていたものの
どんどん体の構造とは矛盾している点、説明がつかない点に
疑問が生まれてきて、教えていて違和感を感じるようになりました
「歌は感覚」とはありましたが
教える側も感覚で良いのだろうか?
「なんとなく感覚でできるようになったもの」を教えることはできない
レッスン受ける生徒さんが今なぜ
その「発声方法」に、「声」になっているか?
それは発声のメカニズムを知らなければ
確かな説明とトレーニングは作れない
体の構造と理論がわからないと伝えられないし、
実際に生徒さんも出来ているかどうかがあやふやになり
出来たとしてもやはり日々人の感覚は変わるので
パフォーマンスを行う上で自分の中で
基盤のぼやけた不安定なものとなる
そしてそこに不安が生まれ、パフォーマンス精度も落ちる
ということを僕自身も体験していました。
「これはどうゆう理論ですか?」と聞くと
「理論はいらない、プロアーティストは理論を誰も聞かない、
理論で教えるトレーナーにはならないよう」と教わりました。
感覚的、精神論が多くを占めるのではなく
海外のようにもっと明確にスポーツ選手がスポーツ医学で
パフォーマンスの構造を知り強化するように
発声も考えなくてはと考えてきましたが
中々周りには理解されない事が多いのが現状でした。
しかし、それでも元々歌が感覚的に歌えなかった僕は
発声する、歌うとは
「体のどの器官が関わり」「体でどのような音響的な物理現象が起きているか」
人を感動させるということは
「どんな音が人の耳(脳)にどんな認識を与えるからなのか」
と言うメカニズムをしっかり知り
その上で「一人一人何をどこをトレーニングするべきか」
を見極め、聴き分ける事への指標を作りたいという欲求は高まり
まずはインターネットで調べまくり
数少ない専門書や、音声学の教授の方々の論文を読み漁りました
そうしていると色んな知識が結びつき
メカニズムや理論が自分の中で構築されてきました。
そうしてはレッスンをして、それを実証して
レッスンを受ける方からも変化を実感できる事を聞いて
を繰り返しました。
それでもあくまで音声学の専門家でもない
いちボイストレーナーの僕が自論を展開してるだけではないか?
効果は出ているものの果たして正しいのか?
という不安は常にあり、更に色々と探し
音声学の研究家の方々の講義を受ける日々がスタートしました。
日本の音声学を研究されている教授の方や
海外の音声学の研究者、ボイストレーナーの方々の
講義を聴きに行き、話をさせて頂き
自ら大学の研究チームに参加し
今まで自ら調べて組み立て実践してきた事は
間違っていない事がわかると同時に
未だ感覚的に行っている日本のトレーニングが
知識不足により理解、内容が間違っていたり
海外に比べると
かなり遅れをとっている現状もわかりました。
ちなみに勉強してからは今までの発声、歌唱のイメージや
習ってきた内容へのイメージは
全然違った事がわかり、驚くほど明確になりました。
そしていわば「理論で科学する」とても異端児スタイルで
講師をしていたスタジオを辞め
Zen Voice Factoryを作りました。
日本の現在のボイストレーニング、
学校での音楽教育の元になっていると考えられるものは
1900年代前半に各諸外国語で書かれた
声楽の専門書が入ってきたものを当時の知識で
訳したもので(直訳した単語も多い)
元々の専門書も当然国、人により考え方言い方も違うので、
どの流派の本を誰がどう訳したかで
すでに知識はバラバラになっています。
わかりやすい例ではこの時点で
「裏声、頭声、ファルセット、仮声」という
複数の言葉が生まれ、未だにこれらの日本語の音楽用語は
何を示すかを理解した上で使っている人は多くありません。
「地声、裏声」「胸声、頭声」のセットも日本語に訳したもので
実際意味は多くの方があやふやです。
故に「ミックスボイス=地声と裏声を混ぜる」と言った
説明も多く生まれてきてしまいます。
海外で生まれたものを大昔に日本で直訳した用語を
用いて説明、理解しようとしているので大きくずれが生じています。
外国人の方は骨格的に声が高いなど都市伝説さえあります笑
「発声」「歌唱」は【喉】という外からは見えない器官
を用いて行うため(【咽】は見える場所もある)、
技術がまだ進んでない昔は
感覚的に捉えざるをえなかったと思いますが
今から約20年程前から
テクノロジーの驚異的な進化もあり
「喉」や「咽」の構造や「発声」「音色」「歌唱」の研究、解明も
海外や日本の音声学の研究者の方々の中で進んでいます。
(もちろんまだまだ未解明も多く、これからまた知識が塗り替えられるかもしれません)
しかしながら現場では
昔ながらの立ち止まった感覚でのレッスンが
多く続いている事を感じています。
故にあまりピンとこない
しっかり変化できた実感を持てる満足感が得られず
ボイトレ漂流者になってしまう方が多いと感じています。
これは僕らトレーナー業界側の問題だと認識しています。
ボイストレーナーは資格もいりませんし
発声の本格的な知識を学んでいなくとも
歌が歌える人、ピアノを叩ける人であれば
誰でも出来てしまう職業です。
どんなトレーナーさんを選べば良いかの基準も曖昧かと思います。
発声を勉強してどんどん内容を精査し
更新しているトレーナー、スクールの方も少なからずお見かけします。
全国にはそういった考えで力を入れてる
良きトレーナーの方もいると思います。
こういった方を探し出しトレーニングを受けてみるのが
僕は良いと思います。
巡り会うまでは美味しいラーメン屋さんを探すがごとく
良き整骨院の先生を探すがごとくの旅になるとは思います。
漂流者になってしまう事もありますよね。。。
また近年はようやくの流行りなのか「科学」や「音声学」を謳うボイトレも増えてきてます。
しかし、そう名乗っていればそれが本当に科学や音声学を理解しているとは言い難いのが現状でもあります。(ネット検索や書籍を読んだだけだったり、筋肉名や発声器官名を出しているだけなど、トレーナー自身が科学や音声学に直接携わってない方が正直多いです)
レッスンを受ける側では何が正しいか判断できないのも歯がゆいところです。
僕が良いと思うトレーナーさんは
現段階における的確な知識を持ち、自分の目と耳で音声の研究に参加し、それをわかりやすく実践し実感を持たせてくれる方かと思います。素敵な信念あるトレーナーに僕もお会いしてどんどん話をしたいです。
そして有名な誰々が通っているとホームページに乗っていたら必ずしも良いトレーナーでもありません(プロになる前から通っててしかも下手でそこから上手くなってプロになった人は少ないです、すでにデビューして上手い状態で通ってくるのです。それって本当にトレーナーが上手くしたの?って思いませんか?)
僕は誰々が通ってるからレッスン受けてみようではなく内容に魅力を感じてもらえたら受けて欲しいので担当している方々をホームページには載せていません。
現在多くの人が歌うのはPOPS、ROCKが多いと思いますが
このメロディーは元々海外で生まれたメロディーで
海外の日本語とは違う発音、音節を持つ言語で歌われ
作られた旋律なので
これを日本語で歌う際には日本語の持つ発音の特徴への知識
更には各歌い手の発音の癖も考慮できなくてはいけないと考えますし
日本の伝統的な民謡、その他のジャンルにおいても
お師匠さんの音色を聞いて感覚的に真似て出来るようにする中で
学ぶ側がお師匠さんの声を
実際とは違った音色、発声のイメージで捉えてしまっていて
結果、お師匠さんの音色にいつまでも近づく事ができていない事もあります。
(例:鼻声に聞こえているだけであって、あくまで実際は鼻声でないなど)
このように考えて僕が随分と遠回りしてきた経験を
もう少し皆さんには整備された道案内をしたいと思い
引き続きボイストレーニングの内容、知識を深めていき
より成長実感を持てるトレーニングへと進んでいきたいと考えています。
もちろん最終的には歌を歌う時には
聴いてくれる人を思い、そしてその歌を思い
自分自身の感情を自由に羽ばたかせた
その「感覚」で歌を歌えるようになって頂きたいです。
お箸を持つ事も自転車に乗る事も家の階段を上り下りする事も
今は何も考えず感覚だと思います。
でも一番最初には考えて出来るようにしたと思います。
まずは
「正しい理論を出来る感覚に」
歌は喉頭や咽頭、口腔、鼻腔といったほとんど大きな個人差のない器官を使い行うものなのでスポーツや他の技能に比べ
かなりみんなが平等にできる技能です。
自分でうまく歌や声が出せないと
リミッターをかけずにいてください
才能もなく、いじめられっ子だった僕も
「あなたはバリトンだから声が低くて仕方ない」と
諦められていた僕でも紐解いて沢山できるようになりました。
最初からできなかった僕だからこそ
どう変化すれば、何をすればよいかわかるので
教えられる事があると思います。
ボーカリスト、役者さんだけでなく
趣味で歌が上手くなりたい方はもちろん
学校の先生や営業や講演をされる方
声を出す事に興味のある方の少しでも力になれたら嬉しいです。
そして楽しい空間で楽しいレッスンをしていきます!
お気軽にZen Voice Factoryの門を叩いてください。
お待ちしてます。
Zen Voice Factory 長塚全