LV.3知覚音声学から「音」を人がどう感じるか?の仕組みを知り効果的な表現力をトレーニング!!
音声学には「聴音音声学」「音響音声学」「知覚音声学」の分野があります。
その中で【耳から聴いた音声を人はどのように感じるか】
を扱うのが「知覚音声学」になります。
脳科学や心理学といった面も多くなってきます。
まずは分かりやすい著名な研究を例に挙げてみます。
アメリカの言語学者Edward Sapir(1929)は
大きさが大きく異なる大小のテーブルの絵と
「mil」「mal」という二つの無意味語を用意し
どちらのテーブルにどちらの名前をつけるか選んでもらう
という実験をしました。
さあ、これを読んでくれているあなたはどう直感で付けましたか?
別の例では僕のボイトレLV3において
大変参考にさせて頂いている
慶應義塾大学の川原繁人先生は「ガンダムとカンタム」
「ゴジラとコシラ」はどちらが強く感じるか?
「ワマナちゃんとサタカちゃんはどちらが気が強そうか?」
などの例を挙げられています。
面白いくらい同じ回答が得られます。
最初のSapirの例で言うと
大きいテーブル→mal
小さいテーブル→mil
と思った方が多いのではないでしょうか。
これは「a」という音が
音声の波形的にも口の開け方的にも人に大きい印象を与え
「i」という音は逆に小さい印象を与えるからなんです。
濁点がつく可能性がある文字
「か、さ、た」などの阻害音は「強い、硬い、男性」
「な、ま、わ」など共鳴音は「優しい、柔らかい、女性」
のイメージを持ちやすいです。
これを「音象徴」といい
ある程度、人に同じような印象を与えるものを
「音象徴パターン」というものが存在します。
感情においても
そのような音を人は「楽しそう、悲しそう、怒ってる、皮肉ってる」
と感じるかというものが存在します。
考えてみれば
こういった共通の仕組みがもしも存在しなければ
全く持ってコミュニケーションは成立しませんよね
音楽を聴いてもドラマを観ても
全く感情が理解できないなんてことになりそうです。
さて歌手や役者はよくトレーナー、演技指導の先生に
「感情をもっと込めて!」と言われると思います。
中々難しいですよね。
音の持つ仕組みを少しでも理解すると
もっと感情表現は生まれ、人に伝わりやすくなると考えています。
歌やお芝居だけでなく普段の生活においても
少し円滑にコニュニケーションができるとも思います。
音声の研究者の方々はこのような研究をされています
(僕も関わらせていただいてます)
ライブではリスナーのハートをガッチリ掴む音声の技術
オーディションならディレクションされる方のハートを掴む
いわばオーディション対策
こういった技術を教えていきます。
この技術を理解し体得していくには
まずLv1の発声に使う各筋肉群が繊細に自由に動くことができないと
理解をしていても実際に出すことは難しく
所詮は理論で終わってしまうので
勿体ないのです。
よく【言霊がある】と言われますが
こういった音声の持つ性質が人に与える影響
「音象徴」が言霊の一つなのかもしれません。
音声は紐解いていくとワクワクするほど面白く奥深いし
できると本当に楽しいです!
みなさんにぜひ味わってもらいたい分野です。